さしてゆくかたは湊の浦高み
うらみて帰る海人の釣舟
- 歌の意味
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目指して行く方は湊であるが、浦の波が高いので、浦を見ながら恨んで引き返してゆく海人の釣舟であることだ。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 1435
詞書は前の歌に続き「題しらず」
浦と波に寄せる一連の三首目で、巻第十五の巻末歌である。目指す湊へ向かいながら、浦の波が高いために、浦を見ながら恨んで引き返す海人の釣舟を詠み、逢えずに帰る恋を重ねる。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「読人しらず」は、名の伝わらない作者であることを示す。
初句「さしてゆく」は、目指して行く、の意である。舟を棹で「さし」て進める意も響かせる。
二句「かたは湊の」は、向かう方は湊の、の意である。
三句「浦高み」は、浦の波が高いので、の意で、「み」は原因を表す。三句で切れる。
四句「うらみて帰る」の「うらみ」は、「浦見」と「恨み」を掛ける掛詞である。本巻の第千四百三十三首の四句「うらみてのみも」と同じ掛詞で、そこでは帰る波であったものが、ここでは帰る釣舟となっている。
結句「海人の釣舟」は体言止めである。目指す湊に着けずに引き返す釣舟に、逢いたい人のもとへ行き着けない恋が重ねられている。巻頭歌が後朝の袖の別れで始まったのに対し、巻末のこの歌は恨みながら帰ってゆく釣舟で閉じられ、恋の終わりを主題とする巻第十五が、逢えずに帰る姿で結ばれている。
うらむ:「浦見」と「恨み」を掛ける
あま:海で漁をする人
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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白波は立ち騒ぐともこりずまの 浦のみるめは刈らんとぞ思ふ