百敷に変はらぬものは梅の花
折りてかざせる匂ひなりけり
- 歌の意味
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宮中で昔と変わらないものは、梅の花を折って髪に挿した、その香りであったよ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 1444
詞書「延長のころほひ、五位蔵人に侍りけるを離れ侍りて、朱雀院承平八年また還りなりて、明くる年睦月に御遊び侍りける日、梅の花を折りてよみ侍りける」
鶯と梅を詠む一連の四首目である。宮中で昔と変わらないものは、梅の花を折って挿した香りであったと詠む。詞書によれば、延長の頃に五位蔵人を離れた作者が、朱雀天皇の承平八年に再び蔵人に還り、翌年正月の御遊の日に梅の花を折って詠んだ歌である。
作者の「源公忠朝臣」は、光孝天皇の孫で、源国紀の子である。醍醐、朱雀の二代に蔵人として仕え、右大弁に至った。三十六歌仙の一人である。
詞書の「朱雀院」は朱雀天皇を指す。承平八年は改元されて天慶元年となった年で、その翌年は天慶二年である。五位蔵人は、五位の位で蔵人に任じられた者をいう。
初句「百敷に」の「百敷」は宮中をいう。久しく離れていた宮中に還った感慨が、この一語にこもる。
二句「変はらぬものは」は、年を隔てて変わったものの多さを裏に含み、その中で変わらないものを求める言い方である。
三句「梅の花」は、第千四百四十二首、前歌に続いて三句に置かれた「梅の花」である。
四句「折りてかざせる」の「かざす」は、花や枝を髪や冠に挿すことをいう。「る」は存続の助動詞である。
結句「匂ひなりけり」の「けり」は、今気づいた詠嘆を表す。梅の色ではなく香に変わらないものを見出しており、次歌が色も香も心にかけないと詠むのと対照をなす。
ももしき:宮中。内裏
かざす:花や枝を髪や冠に挿す
くらうど:天皇の側近に仕え、宮中の雑事や文書をつかさどった官人
- 作者
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源公忠
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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遅く疾くつひに咲きぬる梅の花 誰が植ゑ置きし種にかあるらん
- 次の歌
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色香をば思ひも入れず梅の花 常ならぬ世によそへてぞ見る