道の辺の朽ち木の柳春来れば
あはれ昔としのばれぞする
- 歌の意味
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道ばたの朽ち木となった柳も、春が来ると、ああ昔は、としのばれることだ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 1449
詞書「柳を」
昔の春をしのぶ一連の一首目である。道ばたの朽ち木となった柳を見て、春が来ると、ああ昔は、としのばれると詠む。詞書は題を示すのみで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「菅贈太政大臣」は菅原道真である。菅原是善の子で、宇多、醍醐の二代に重く用いられて右大臣に至ったが、大宰権帥に左遷されてその地で没した。のちに太政大臣を追贈されたことから、贈太政大臣と呼ばれる。
初句「道の辺の」は、道のほとりの、の意である。人の行き来する道ばたに立つ柳を示す。
二句「朽ち木の柳」は、老いて朽ちかけた柳をいう。盛りを過ぎたものの姿が、懐旧の思いを呼び起こす。
三句「春来れば」は、本巻の第千四百四十首の初句「春来れば」と同じ句である。春の訪れが、ここでは喜びではなく昔をしのぶ契機となっている。
四句「あはれ昔と」の「あはれ」は感動詞で、ああ、の意である。昔の盛りを思い起こす嘆息を直接に表す。
結句「しのばれぞする」は、自発の助動詞「る」の連用形「れ」に係助詞「ぞ」を添え、連体形「する」で結ぶ係り結びである。自然と昔がしのばれることを表し、次歌の昔の春をしのぶ歌へと主題をつなぐ。
くちき:朽ちた木
みちのべ:道のほとり。道ばた
しのぶ:過ぎたことを懐かしく思い出す
- 作者
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菅原道真
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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紫の雲にもあらで春霞 たなびく山のかひは何ぞも
- 次の歌
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昔見し春は昔の春ながら 我が身ひとつのあらずもあるかな