垣越しに見るあだ人の家桜
花散りばかり行きて折らばや
- 歌の意味
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垣根越しに見る、浮気なあの人の家の桜よ。花が散るほどに、出かけて行って折りたいものだ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 1451
詞書「堀河院におはしましける頃、閑院の左大将の家の桜を折らせにつかはすとて」
桜を詠む一連の一首目である。垣根越しに見る浮気な人の家の桜を、花が散るほどに行って折りたいと詠む。詞書によれば、円融院が堀河院に住んでいた頃、閑院の左大将の家の桜を折らせに使いを遣わすときに添えた歌である。
作者の「円融院御歌」は円融天皇である。村上天皇の皇子で、兄の冷泉天皇の譲位を受けて即位し、のち花山天皇に位を譲った。
詞書の「閑院の左大将」は藤原朝光である。関白藤原兼通の子で、閑院に住み、左近衛大将、大納言となった。堀河院は兼通の邸で、円融天皇の里内裏ともなった。
この歌には朝光の返しがあり、次歌に置かれている。
初句「垣越しに」は、垣根を隔てて見ることをいう。隣り合う住まいから桜を眺めるさまである。
二句「見るあだ人の」の「あだ人」は、心の変わりやすい人、浮気な人をいう。朝光を戯れにそう呼んでいる。
三句「家桜」は、人家に植えられた桜である。ここで三句切れとなり、呼びかけの形をとる。
四句「花散りばかり」は、花が散るほどに、の意で、桜を惜しまず折り取ろうとする戯れの言葉である。
結句「行きて折らばや」の「ばや」は願望の終助詞で、行って折りたいものだ、の意である。桜を所望する思いを、戯れを交えて伝えている。
あだびと:心の変わりやすい人。浮気な人
いへざくら:人家の庭に植えた桜
さとだいり:内裏の外に設けた仮の皇居
- 作者
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円融院
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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昔見し春は昔の春ながら 我が身ひとつのあらずもあるかな
- 次の歌
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折りにこと思ひやすらん花桜 ありし御幸の春を恋ひつつ