古典和歌stream

見てもまたまたも見まくのほしかりし
花の盛りは過ぎやしぬらん

歌の意味
見ても、またさらに見たいと思われた花の盛りは、もう過ぎてしまったのだろうか。
鑑賞
巻第十六 雑歌上 1460

詞書「題しらず」
 桜を詠む一連の十首目である。見てもなお見たいと思った花の盛りは、もう過ぎてしまったのだろうかと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
 作者の「藤原高光」は、右大臣藤原師輔の子である。若くして出家し、比叡山の横川から多武峰に移って住んだ。三十六歌仙の一人である。

 初句「見ても又」は、見てもなお、の意である。二句の「またも」と「また」の語を重ね、繰り返し見たい思いを表す。
 二句「またも見まくの」の「見まく」は、「見む」に接尾語「く」の付いた形で、見ること、の意である。
 三句「ほしかりし」は、過去の「し」で、かつて見たいと思った、の意となる。花の盛りへの思いがすでに過去のものとなりつつあることを示す。
 四句「花の盛りは」は、花の最も美しい時期をいう。前歌までの花見の歌に続き、盛りの花が詠まれる。
 結句「過ぎやしぬらん」は、係助詞「や」を受けて連体形「らん」で結ぶ係り結びである。花の盛りが過ぎたかと推し量り、盛りの花からやがて散る花へと一連を移してゆく。

みまく:見ること。見ようとすること
作者
藤原高光
出典
新古今和歌集
前の歌
折る人のそれなるからにあぢきなく 見しわが宿の花の香ぞする
次の歌
老いにける白髪も花ももろともに 今日のみゆきに雪と見えけり