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さもあらばあれ暮れゆく春も雲の上に
散ること知らぬ花しにほはば

歌の意味
どうとでもなればよい、暮れてゆく春も。宮中に、散ることを知らない花が咲き匂っているならば。
鑑賞
巻第十六 雑歌上 1463

詞書は前の歌に続き「後冷泉院御時、御前にて翫新成桜花といへる心ををのこどもつかうまつりけるに」
 桜を詠む一連の十三首目である。宮中に散ることを知らない花が匂っているならば、暮れてゆく春もどうとでもなればよいと詠む。詞書は前の歌に続き、後冷泉天皇の御前で「翫新成桜花」の題で詠まれた歌である。
 作者の「大納言経信」は、権中納言源道方の子である。大納言に至り、晩年は大宰権帥として任地で没した。源俊頼の父にあたる。
 題の「翫新成桜花」は、新たに作り成した桜の花、すなわち造り物の桜を愛でるという意と解される。

 初句「さもあらばあれ」は、どうとでもなれ、の意で、字余りの初句で強く言い放つ。
 二句「暮れゆく春も」は、過ぎ去ってゆく春をいう。ふつうは惜しむべき晩春を、ここではかまわないとする。
 三句「雲の上に」の「雲の上」は宮中をいう。字余りの句で、造り物の桜が置かれた御前を指している。
 四句「散ること知らぬ」は、散ることを知らない花で、前歌の「散らぬばかりぞ」を受けている。同じ題で、前歌が散らないことを見分けのしるしとしたのに対し、この歌は散らないことを春の暮れにまさる喜びとする。
 結句「花しにほはば」の「し」は強意の副助詞で、「ば」は仮定を表す。宮中に散らない花が匂うならば、と条件を後に置く倒置の形で、御代の永続をことほいでいる。

くものうへ:宮中。内裏
作者
源経信
出典
新古今和歌集
前の歌
桜花折りて見しにも変はらぬに 散らぬばかりぞしるしなりける
次の歌
桜花過ぎゆく春の友とてや 風の音せぬ夜にも散るらん