すべらぎの木高き陰に隠れても
なほ春雨に濡れんとぞ思ふ
- 歌の意味
-
わが君の、高くそびえる木のような御陰に隠れて守られていても、なお春雨のような御恵みに濡れたいと思う。
- 鑑賞
-
巻第十六 雑歌上 1479
詞書「崇徳院にて林下春雨といふことをつかうまつりける」
晩春の景物を詠む一連の七首目である。君の高い木陰のような庇護のもとにあっても、なお春雨のような恵みに濡れたいと詠む。詞書によれば、崇徳院のもとで林下春雨の題で詠んだ歌である。
作者の「八条前太政大臣」は藤原実行である。権大納言藤原公実の子で、太政大臣に至った。
林下春雨は、林の下に降る春雨という題である。
初句「すべらぎの」の「すべらぎ」は天皇をいい、ここでは崇徳院を指す。
二句「木高き陰に」は、高くそびえる木の陰をいい、題の林下を受ける。君の庇護を大きな木の陰にたとえている。
三句「隠れても」は、その陰に守られていても、の意である。
四句「なほ春雨に」は、題の春雨を受け、君の恵みを春雨にたとえる。前歌の「春の雨のあまねき御代」と同じく、春雨を君の恵みとして詠んでいる。
結句「濡れんとぞ思ふ」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形「思ふ」で結ぶ係り結びである。庇護だけでなく、さらに直接恵みを受けたいと願う心を述べている。
すべらぎ:天皇
こだかし:木が高くそびえている
- 作者
-
藤原実行
- 出典
-
新古今和歌集
- 前の歌
-
春の雨のあまねき御代を頼むかな 霜に枯れゆく草葉もらすな
- 次の歌
-
八重ながら色も変はらぬ山吹の などここのへに咲かずなりにし