思ひあれば露は袂にまがふとも
秋のはじめを誰に問はまし
- 歌の意味
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物思いがあるので、たとえ袂の露が涙と見分けがつかなくても、秋の初めが来たことを、いったい誰に尋ねたらよいだろうか。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 1496
詞書「題しらず」
初秋を詠む一連の一首目である。物思いのために袂の露が涙とまがうとしても、秋の初めが来たことを誰に問えばよいのかと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「七条院大納言」は、後鳥羽院の母の七条院に仕えた女房である。
初句「思ひあれば」は、物思いがあるので、の意である。前歌の初句「おもひあらば」と同じ語で始め、仮定を確定に転じている。
二句「露は袂に」は、秋の露が袂に置くことをいう。夏の歌から秋の歌へと移る最初の歌として、秋の景物の露を示す。
三句「まがふとも」は、見分けがつかなくても、の意である。物思いの涙と秋の露とが袂で入りまじるさまをいう。
四句「秋のはじめを」は、秋の到来をいう。涙と露の区別がつかないため、秋が来たかどうかも自分ではわからないとする。
結句「誰に問はまし」の「まし」は、ためらいの気持ちを表す。露で秋を知ろうにも、涙と見分けがつかないという嘆きを、問いの形で示している。
まがふ:入りまじって見分けがつかない
たもと:袖の下の袋状になった部分。袖
- 作者
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七条院大納言
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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おもひあらば今宵の空は訪ひてまし 見えしや月の光なりけん
- 次の歌
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袖の浦の波吹き返す秋風に 雲の上まで涼しからなん