- 歌の意味
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袖の浦の波を吹き返す秋風のように、この扇の風で、雲の上の宮中までも涼しくあってほしい。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 1497
詞書「后の宮より内に扇奉り給ひけるに」
初秋を詠む一連の二首目である。袖の浦の波を吹き返す秋風のように、扇の風で雲の上の宮中まで涼しくあってほしいと詠む。詞書によれば、后の宮から帝に扇を奉った折の歌である。
作者の「中務」は、敦慶親王の娘で、母は歌人の伊勢である。三十六歌仙の一人である。
袖の浦は出羽の歌枕で、今の山形県酒田市の辺りとされる。
初句「袖の浦の」は字余りの句で、歌枕の袖の浦を示す。「袖」の語が、扇をあおぐ袖を思わせる。
二句「波吹き返す」は、風が波を吹き返すさまをいう。扇で起こす風を、海の風に重ねている。
三句「秋風に」は、初秋の風を示す。前歌の秋の露に続き、秋の風を詠む。
四句「雲の上まで」の「雲の上」は宮中をいう。奉る扇の風が、帝のもとまで届くことを願う。
結句「涼しからなん」の「なん」は、他に対する願望の終助詞で、涼しくあってほしい、の意である。扇を奉る祝意を、袖と風と涼しさの取り合わせで表している。
くものうへ:宮中。内裏
あふぎ:扇。あおいで風を起こす道具
- 作者
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中務
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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思ひあれば露は袂にまがふとも 秋のはじめを誰に問はまし
- 次の歌
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秋や来る露やまがふと思ふまで あるは涙の降るにぞありける