月影の山の端分けて隠れなば
背く憂き世を我やながめん
- 歌の意味
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月の光が山の端を分けて隠れてしまうように、あなたが山に入って隠れてしまったなら、あなたが背くこの憂き世を、私は一人ながめることになるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 1500
詞書「親王の宮と申しける時、少納言藤原統理、年頃馴れ仕うまつりけるを、世を背きぬべきさまに思ひ立ちける気色を御覧じて」
月を詠む一連の二首目である。月が山の端に隠れるように、あなたが山に入ってしまったなら、あなたの背く憂き世を私一人がながめるのかと詠む。詞書によれば、三条院がまだ東宮であった頃、長年親しく仕えた少納言藤原統理が出家を思い立った様子を見て詠んだ歌である。
作者の「三条院御歌」は三条天皇である。冷泉天皇の皇子で、長く東宮にあったのち即位したが、眼病を患い、在位五年ほどで退位した。
詞書の「少納言藤原統理」は、三条院が東宮であった頃に仕えた人で、のちに出家した。
初句「月影の」は、月の光、月の姿をいう。出家しようとする統理を月にたとえている。
二句「山の端分けて」は、月が山の稜線を分けて沈むさまをいう。出家して山に入ることを重ねる。
三句「隠れなば」は、完了の「な」の未然形に「ば」を添えた仮定で、隠れてしまったならば、の意である。前歌の「雲隠れにし」と同じく、月が隠れることに人との別れを重ねている。
四句「背く憂き世を」は、統理が背を向けて捨てようとするつらい世をいう。
結句「我やながめん」は、係助詞「や」を受けて連体形「ん」で結ぶ係り結びである。残された自分が憂き世をながめて過ごすのかと、別れを惜しむ心を表す。
やまのは:山の稜線。空と接する山の輪郭
そむく:背を向ける。出家する
ながむ:物思いにふけりながら見やる
- 作者
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三条院
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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めぐり逢ひて見しやそれとも分かぬ間に 雲隠れにし夜半の月影
- 次の歌
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山の端を出でがてにする月待つと 寝ぬ夜のいたく更けにけるかな