浮雲は立ち隠せども隙漏りて
空行く月の見えもするかな
- 歌の意味
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浮雲が立ちはだかって隠しても、そのすき間から漏れて、空を行く月は見えてしまうものだ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 1502
詞書「参議正光、朧月夜に忍びて人のもとにまかれりけるを見あらはしてつかはしける」
月を詠む一連の四首目である。浮雲が隠しても、すき間から漏れて空を行く月は見えるものだと詠む。詞書によれば、参議藤原正光が朧月夜に忍んで人のもとへ通ったのを見つけ、贈った歌である。
作者の「伊勢大輔」は、大中臣輔親の娘である。上東門院に仕えた女房歌人で、「いにしへの奈良の都の八重桜」の歌で知られる。
詞書の「参議正光」は藤原正光で、関白藤原兼通の子である。
この歌には正光の返しがあり、次歌に置かれている。
初句「浮雲は」は、空に浮かぶ雲をいい、人目を忍ぶための隠れ蓑にたとえる。
二句「立ち隠せども」は、逆接の「ども」で、立ちこめて隠しても、の意となる。
三句「隙漏りて」は、雲のすき間から光が漏れることをいう。忍び歩きの様子が人目に漏れたことを重ねる。
四句「空行く月の」は、空を渡ってゆく月をいい、忍んで通う正光を月にたとえている。
結句「見えもするかな」は、詠嘆の「かな」で、見えてしまうものだ、と結ぶ。忍んでも見つかってしまったと、正光をからかっている。
うきぐも:空に浮かび漂う雲
ひま:すき間
みあらはす:隠していたことを見つけ出す
- 作者
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伊勢大輔
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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山の端を出でがてにする月待つと 寝ぬ夜のいたく更けにけるかな
- 次の歌
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浮雲に隠れてとこそ思ひしか ねたくも月の隙漏りにける