天の原はるかにひとりながむれば
袂に月の出でにけるかな
- 歌の意味
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大空をはるかに独りで眺めていると、涙に濡れた私の袂に、月が映って出てきたことだ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 1517
詞書「夜更くるまで寝られず侍りければ、月の出づるをながめて」
月に人を思う一連の四首目である。大空をはるかに独り眺めていると、涙に濡れた袂に月が映って出てきたと詠む。詞書によれば、夜が更けるまで眠れずにいて、月の出るのを眺めて詠んだ歌である。
作者の「増基法師」は、平安時代中期の僧である。
初句「天の原」は、広々とした大空をいう。『古今和歌集』の阿倍仲麻呂の歌「天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも」と同じ初句で、月を仰ぐ歌の言い出しである。
二句「はるかにひとり」は、はるかな空を独りで、の意である。前歌の「もろともに」に対し、ここでは独りで月を見る。
三句「ながむれば」は、已然形に「ば」を添えた確定条件で、眺めていると、の意である。
四句「袂に月の」は、涙に濡れた袂に月が映ることをいう。空の月が、袂の涙の上に現れるとする。
結句「出でにけるかな」は、完了の「に」と過去の「ける」に詠嘆の「かな」を添える。空に出る月が袂にも出たとする趣向で、独り眠れずに流す涙の多さを表している。
あまのはら:広々とした大空
ながむ:物思いにふけりながら見やる
- 作者
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増基
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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いたづらに寝ては明かせどもろともに 君が来ぬ夜の月は見ざりき
- 次の歌
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頼めこし人をまつちの山風に さ夜更けしかば月も入りにき