月見ばと言ひしばかりの人は来で
真木の戸たたく庭の松風
- 歌の意味
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月が出たら見に来ようと言っただけの人は来ないで、真木の戸をたたくのは、庭の松を吹く風ばかりだ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 1519
詞書「百首歌奉りし時」
月に人を思う一連の六首目である。月が出たら来ようと言っただけの人は来ず、真木の戸をたたくのは庭の松風ばかりだと詠む。詞書によれば、後鳥羽院に百首歌を奉った折の歌である。
作者の「摂政太政大臣」は藤原良経である。九条兼実の子で、摂政、太政大臣となった。『新古今和歌集』の仮名序を書いた。
初句「月見ばと」は、月を見るならば、の意で、月の夜に訪れようという相手の言葉を示す。
二句「言ひしばかりの」は、言っただけの、の意である。口先だけの約束であったことを示す。
三句「人は来で」は、打消接続の「で」で、人は来ないで、の意となる。前歌で約束した人を待ちわびたのと同じく、来ない人を待つ心を詠む。
四句「真木の戸たたく」の「真木の戸」は、杉や檜などの良材で作った戸をいう。戸をたたく音に、人の訪れかと心が動くさまを示す。
結句「庭の松風」は体言止めである。戸をたたいたのは人ではなく庭の松風であったとし、待つ身の寂しさを際立たせている。
まきのと:杉や檜などの良材で作った戸
まつかぜ:松の梢を吹く風
- 作者
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藤原良経
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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頼めこし人をまつちの山風に さ夜更けしかば月も入りにき
- 次の歌
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山里に月は見るやと人は来ず 空行く風ぞ木の葉をも訪ふ