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夜もすがらひとりみ山の真木の葉に
曇るも澄める有明の月

歌の意味
一晩中、ひとりで見ている深山の真木の葉に隠れて曇りながらも、澄みわたっている有明の月であることよ。
鑑賞
巻第十六 雑歌上 1523

詞書「和歌所歌合に、深山暁月といふことを」
 有明の月を詠む一連の三首目である。一晩中ひとりで見る深山の真木の葉に隠れて曇りながらも、澄んでいる有明の月を詠む。詞書によれば、和歌所の歌合で、深山暁月の題で詠まれた歌である。
 作者の「鴨長明」は、賀茂御祖神社の禰宜鴨長継の子である。和歌所の寄人となり、のちに出家して『方丈記』を著した。
 深山暁月は、深い山の明け方の月という題である。

 初句「夜もすがら」は、一晩中、の意である。月を見続けた夜の長さを示す。
 二句「ひとりみ山の」の「み」は、ひとり「見」る意と、「深山」の「み」を掛ける。深山でひとり月を見ている姿を一語に重ねる。
 三句「真木の葉に」は、杉や檜などの常緑の木の葉をいう。月の光を遮る深山の木々を示す。
 四句「曇るも澄める」は、葉に隠れて曇るところがありながらも、澄んでいる、の意である。曇ると澄むという相反する語を並べ、葉越しの月のさまをとらえている。
 結句「有明の月」は体言止めである。前歌で松の木の間から見えにくかった月に続き、真木の葉越しの有明の月を詠み、見えにくさの中の澄んだ光をたたえている。

み:ひとり「見」る意と、「深山」の「み」を掛ける
まき:杉や檜などの良い木
作者
鴨長明
出典
新古今和歌集
前の歌
山の端を出でても松の木の間より 心づくしの有明の月
次の歌
奥山の木の葉の落つる秋風に 絶え絶え峰の雲ぞ残れる