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ながめわびぬ柴の編戸のあけがたに
山の端近く残る月影

歌の意味
物思いにふけって眺めることにも疲れてしまった。柴の編戸を開ける明け方に、山の端近くに残っている月の光よ。
鑑賞
巻第十六 雑歌上 1526

詞書「山家の心をよみ侍りける」
 有明の月を詠む一連の六首目である。一晩中眺めることにも疲れ、柴の編戸を開ける明け方に、山の端近くに残る月を見ると詠む。詞書によれば、山家の題で詠まれた歌である。
 作者の「猷円法師」は、鎌倉時代初期の僧である。
 山家は、山里の住まいという題である。

 初句「ながめわびぬ」は字余りの句で、眺めることにもつらくなってしまった、の意である。ここで初句切れとなる。
 二句「柴の編戸の」は、柴を編んで作った粗末な戸をいう。山里の住まいのわびしさを示す。
 三句「あけがたに」は、夜が明ける意の「明け方」と、戸を「開け」る意を掛ける。編戸を開ける動作と、夜明けの時とを重ねる。
 四句「山の端近く」は、月が山の稜線に近づいていることをいう。沈みかけた月を示す。
 結句「残る月影」は体言止めである。前の二首の深山の月に続き、山里の住まいから見る暁の残月を詠んでいる。

あけがた:夜が明ける意の「明け方」と、戸を「開け」る意を掛ける
あみど:柴や竹を編んで作った戸
ながめわぶ:物思いにふけって眺めることにも疲れる
作者
猷円
出典
新古今和歌集
前の歌
月澄めば四方の浮雲空に消えて 深山隠れに行く嵐かな
次の歌
暁の月見んとしも思はねど 見し人ゆゑにながめられつつ