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秋の夜の月に心を慰めて
憂き世に年の積もりぬるかな

歌の意味
秋の夜の月に心を慰めながら、このつらい世に、年を積み重ねてきたことだ。
鑑賞
巻第十六 雑歌上 1538

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 月にわが身を思う一連の八首目である。秋の夜の月に心を慰めながら、つらい世に年を重ねてきたと詠む。詞書は前の歌に続き題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
 作者の「藤原道経」は、平安時代後期の歌人である。

 初句「秋の夜の」は、秋の夜をいう。月の最も美しい季節を示す。
 二句「月に心を」は、月によって心を、の意である。
 三句「慰めて」は、心を慰めながら、の意で、つらい世を生きる支えとして月を示す。
 四句「憂き世に年の」は、つらい世に年が、の意である。
 結句「積もりぬるかな」は、完了の「ぬる」に詠嘆の「かな」を添える。前の二首が一夜の月の移ろいを詠んだのに対し、ここでは幾年もの秋の月を思い、年月の積み重なりを嘆いている。

うきよ:つらいことの多いこの世
作者
藤原道経
出典
新古今和歌集
前の歌
ながめして過ぎにしかたを思ふ間に 峰より峰に月は移りぬ
次の歌
秋を経て月をながむる身となれり 五十路の闇を何嘆くらん