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ふるさとのやどもる月に言問はん
我をば知るや昔住みきと

歌の意味
故郷の荒れた家を守り、そこに漏れ入る月に尋ねてみよう。私を知っているか、昔ここに住んでいた者だと。
鑑賞
巻第十六 雑歌上 1551

詞書「故郷月を」
 昔をしのぶ月を詠む一連の二首目である。故郷の荒れた家を守り、そこに漏れ入る月に、昔ここに住んでいた私を知っているかと尋ねようと詠む。詞書によれば、故郷月の題で詠まれた歌である。
 作者の「寂超法師」は、俗名を藤原為経という。藤原為忠の子で、兄弟の寂念、寂然とともに出家し、大原に住んだ。藤原隆信の父にあたる。
 故郷月は、かつて住んだ古里で見る月という題である。

 初句「ふるさとの」は、かつて住んだ土地、古びた旧宅をいう。
 二句「やどもる月に」の「やどもる」は、家を「守る」意と、荒れた家に月の光が「漏る」意を掛ける。住む人のない家を月だけが守り、その屋根から光が漏れるさまを重ねる。
 三句「言問はん」は、意志の「ん」で、尋ねてみよう、の意となり、ここで三句切れとなる。
 四句「我をば知るや」は、私を知っているか、の意である。前歌の昔語りを受け、昔を知る者として月に問いかける。
 結句「昔住みきと」は、過去の「き」で、昔ここに住んでいたと、の意である。倒置の形で問いの内容を最後に置き、変わらない月と変わってしまった自分とを対比している。

やどもる:家を「守る」意と、月の光が「漏る」意を掛ける
こととふ:尋ねる。話しかける
作者
寂超
出典
新古今和歌集
前の歌
あやしくぞ帰さは月の曇りにし 昔語りに夜や更けにけん
次の歌
すだきけん昔の人は影絶えて やどもるものは有明の月