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夜半に吹く嵐につけて思ふかな
都もかくや秋は寂しき

歌の意味
夜中に吹く嵐の音につけて思うことだ。都でもこのように、秋は寂しいのだろうか。
鑑賞
巻第十六 雑歌上 1573

詞書「山里に住み侍りける頃、嵐烈しき朝、前中納言顕長がもとにつかはしける」
 秋の景物に寄せて述懐する一連の十四首目である。夜中に吹く嵐の音につけて、都でもこのように秋は寂しいのだろうかと思うと詠む。詞書によれば、作者が山里に住んでいた頃、嵐の激しかった翌朝、藤原顕長のもとに贈った歌である。
 作者の「後徳大寺左大臣」は藤原実定である。藤原公能の子で、左大臣に至った。
 この歌には顕長の返しがあり、次歌に置かれている。

 初句「夜半に吹く」は、夜中に吹く、の意である。
 二句「嵐につけて」は、嵐の音をきっかけとして、の意である。
 三句「思ふかな」は、詠嘆の「かな」で、思うことだ、と言い切り、ここで三句切れとなる。
 四句「都もかくや」は、都でもこのように、の意で、係助詞「や」は疑問を表す。山里にいて都の友を思いやる。
 結句「秋は寂しき」は、係助詞「や」を受けて連体形「寂しき」で結ぶ係り結びである。前歌の友を思う心を受け、山里の嵐の寂しさを都の友に問いかけている。

よは:夜中
作者
藤原実定
出典
新古今和歌集
前の歌
花薄秋の末葉になりぬれば ことぞともなく露ぞこぼるる
次の歌
世の中にあきはてぬれば都にも 今は嵐の音のみぞする