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移ろふは心のほかの秋なれば
今はよそにぞきくの上の露

歌の意味
菊の花が色変わりするのは、私の心とは関わりのない秋の定めであるので、今は遠くから聞くばかりだ、菊の上に置く露のことも。
鑑賞
巻第十六 雑歌上 1575

詞書「清涼殿の庭に植ゑ給へりける菊を、位去り給ひてのち思し出でて」
 秋の景物に寄せて述懐する一連の十六首目である。菊の色が移ろうのは心とは関わりのない秋の定めなので、今は菊の上の露のことも遠くから聞くばかりだと詠む。詞書によれば、冷泉院が在位中に清涼殿の庭に植えた菊を、譲位ののちに思い出して詠んだ歌である。
 作者の「冷泉院御歌」は冷泉天皇である。村上天皇の皇子で、在位二年ほどで弟の円融天皇に位を譲った。
 清涼殿は、内裏の中で天皇が日常を過ごした殿舎である。

 初句「移ろふは」は、色が変わってゆくのは、の意である。菊が霜に当たって色変わりすることと、位を去ったわが身の境遇の移り変わりとを重ねる。
 二句「心のほかの」は、自分の心とは関わりのない、思いのほかの、の意である。
 三句「秋なれば」は、已然形に「ば」を添えた確定条件で、秋であるので、の意である。
 四句「今はよそにぞ」は、今は遠く離れた所で、の意で、係助詞「ぞ」の結びは、結句が名詞で終わるために流れている。宮中を離れた身を示す。
 結句「きくの上の露」の「きく」は、「菊」と「聞く」を掛ける。自ら植えた菊の様子を、今はよそから聞くばかりとし、譲位した身の寂しさを晩秋の菊に託している。

きく:「菊」と「聞く」を掛ける
うつろふ:色が変わる。衰える
作者
冷泉院
出典
新古今和歌集
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世の中にあきはてぬれば都にも 今は嵐の音のみぞする
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