君が代にあふくま川の埋もれ木も
氷の下に春を待ちけり
- 歌の意味
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わが君の御代に逢うという名の阿武隈川の、水底の埋もれ木も、氷の下で春を待っていたことだ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 1579
詞書「最勝四天王院の障子に、阿武隈川描きたる所」
冬を詠む一連の三首目である。君の御代に逢うという阿武隈川の埋もれ木も、氷の下で春を待っていたと詠む。詞書によれば、最勝四天王院の障子に阿武隈川を描いた所に添えた歌である。
作者の「家隆朝臣」は、藤原光隆の子である。『新古今和歌集』の撰者の一人である。
最勝四天王院は、承元元年(1207)に後鳥羽院が京の白河に建てた御願寺で、その障子には諸国の名所の絵が描かれ、歌が添えられた。阿武隈川は陸奥の歌枕である。
初句「君が代に」は、わが君の御代に、の意である。後鳥羽院の治世を祝う言葉である。
二句「あふくま川の」の「あふくま」は、御代に「逢ふ」意と、「阿武隈川」を掛ける。
三句「埋もれ木も」は、水底や土の中に長く埋もれていた木をいい、世に埋もれた身をたとえる。
四句「氷の下に」は、前の二首の山川や汀の氷を受け、冬の川を示す。
結句「春を待ちけり」は、今気づいた詠嘆の「けり」で結ぶ。埋もれ木のような身も御代の恵みの春を待っていたとし、冬の氷の下に春への望みを託している。
あふくま:御代に「逢ふ」意と、地名の「阿武隈」を掛ける
うもれぎ:水底や土の中に長く埋もれていた木。世に埋もれた身のたとえ
- 作者
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藤原家隆
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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朝ごとに汀の氷踏み分けて 君に仕ふる道ぞかしこき
- 次の歌
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跡もなく雪ふるさとは荒れにけり いづれ昔の垣根なるらん