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跡もなく雪ふるさとは荒れにけり
いづれ昔の垣根なるらん

歌の意味
跡もないほどに雪が降り、古びた里は荒れてしまった。どれが昔の垣根なのだろうか。
鑑賞
巻第十六 雑歌上 1580

詞書「元輔が昔住み侍りける家のかたはらに、清少納言住みける頃、雪のいみじく降りて、隔ての垣も倒れて侍りければ、申しつかはしける」
 冬を詠む一連の四首目である。跡もなく雪が降り、古びた里は荒れてしまった、どれが昔の垣根なのだろうかと詠む。詞書によれば、清原元輔が昔住んでいた家の隣に清少納言が住んでいた頃、雪がひどく降って隔ての垣も倒れたので、清少納言に贈った歌である。
 作者の「赤染衛門」は、赤染時用の娘である。大江匡衡の妻となり、藤原道長の妻の倫子やその娘の上東門院に仕えた。
 詞書の「元輔」は清原元輔で、清少納言の父にあたり、梨壺の五人の一人である。

 初句「跡もなく」は、跡形もなく、の意である。雪がすべてを覆い隠すさまを示す。
 二句「雪ふるさとは」の「ふる」は、雪が「降る」意と、「古里」の「古」を掛ける。
 三句「荒れにけり」は、荒れてしまったことだ、と言い切り、ここで三句切れとなる。
 四句「いづれ昔の」は、どれが昔の、の意である。清少納言の父元輔の住んだ昔をしのぶ。
 結句「垣根なるらん」は、現在推量の「らん」で、垣根なのだろうか、の意となる。雪に倒れて埋もれた垣根に、亡き元輔の昔と今の荒廃とを重ねている。

ふる:雪が「降る」意と、「古里」の「古」を掛ける
へだて:隔てるもの。仕切り
作者
赤染衛門
出典
新古今和歌集
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君が代にあふくま川の埋もれ木も 氷の下に春を待ちけり
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露の命消えなましかばかくばかり 降る白雪をながめましやは