時過ぎて霜に消えにし花なれど
今日は昔の心地こそすれ
- 歌の意味
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時節が過ぎて、霜に消えてしまった花であるけれど、この削り花を見ると、今日は昔の花盛りの頃の心地がすることだ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 1583
詞書「仏名の朝に、削り花を御覧じて」
冬を詠む一連の七首目である。時節が過ぎて霜に消えた花であるが、削り花を見ると、今日は昔の心地がすると詠む。詞書によれば、仏名会の朝に削り花を見て詠んだ歌である。
作者の「朱雀院御歌」は朱雀天皇である。醍醐天皇の皇子で、在位中に平将門と藤原純友の乱が起こった。のちに弟の村上天皇に位を譲った。
仏名は仏名会のことで、陰暦十二月に三日間、宮中などで三世の諸仏の名を唱えて一年の罪を懺悔する法会である。削り花は、木を削って花の形に作った造花で、仏前に供えた。
初句「時過ぎて」は、花の時節が過ぎて、の意である。
二句「霜に消えにし」は、霜に当たって消えてしまった、の意である。冬の今、本物の花はないことを示す。
三句「花なれど」は、逆接の「ど」で、花であるけれど、の意となる。
四句「今日は昔の」は、仏名の今日は昔の、の意である。削り花に昔の花盛りを思い出す。
結句「心地こそすれ」は、係助詞「こそ」を受けて已然形「すれ」で結ぶ係り結びである。冬の法会に供えられた造り物の花に、過ぎた春の花の心地を見出し、次の二首も仏名の削り花を詠む。
けづりばな:木を削って花の形に作った造花
ぶつみやう:三世の諸仏の名を唱えて罪を懺悔する法会
- 作者
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朱雀院
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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杣山や梢に重る雪折れに 絶えぬなげきの身を砕くらん
- 次の歌
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ほどもなく覚めぬる夢の中なれど その世に似たる花の色かな