見し夢をいづれの世ぞと思ふ間に
折を忘れぬ花の悲しさ
- 歌の意味
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かつて見た夢を、いつの世のことだったかと思っているうちに、時節を忘れずに供えられる花の悲しさよ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 1585
詞書「返し」
冬を詠む一連の九首目で、前歌の藤原公任の歌への御形宣旨の返しである。見た夢をいつの世のことかと思ううちに、時節を忘れずに供えられる花が悲しいと詠む。
作者の「御形宣旨」は、平安時代中期に仕えた女房である。
仏名は仏名会のことで、陰暦十二月に三日間、宮中などで三世の諸仏の名を唱えて一年の罪を懺悔する法会である。削り花は、木を削って花の形に作った造花で、仏前に供えた。
初句「見し夢を」は、かつて見た夢を、の意である。前歌の「覚めぬる夢」を受けている。
二句「いづれの世ぞと」は、いつの世のことかと、の意である。夢のような御代が遠いものになったことを示す。
三句「思ふ間に」は、思っているうちに、の意である。
四句「折を忘れぬ」は、時節を忘れない、の意である。毎年の仏名会に変わらず供えられる削り花をいう。
結句「花の悲しさ」は体言止めである。御代が移っても時節を忘れず供えられる花が、かえって悲しいとし、前歌の「その世に似たる花の色」に、変わらぬ花と変わった世との対比で応じている。
をり:時節。その時
- 作者
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御形宣旨
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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ほどもなく覚めぬる夢の中なれど その世に似たる花の色かな
- 次の歌
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老いぬとも又も逢はんと行く年に 涙の玉を手向けつるかな