- 歌の意味
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山城の岩田の小野の柞の原を眺めながら、あなたは今ごろ山道を越えているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1589
詞書「題しらず」
旅の道中を詠む古歌の一連の二首目である。山城の岩田の小野の柞原を眺めながら、あなたは今ごろ山道を越えているのだろうかと、旅立った人を思いやる。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「式部卿宇合」は藤原宇合である。藤原不比等の子で、藤原式家の祖となった。式部卿を務めた。
『万葉集』巻九に宇合の歌として載る。
岩田の小野は山城国の地名で、現在の京都市伏見区石田のあたりとされる。柞の紅葉とともに詠まれる歌枕である。
初句「山城の」は、国名を示して場所を定める。
二句「岩田の小野の」は、岩田の野の、の意である。「小野」の「小」は語調を整える接頭語である。
三句「柞原」は、柞の木が生い茂る原である。秋には色づく木で、旅の道の景を描く。
四句「見つつや君が」の「つつ」は動作の継続を表し、柞原を見ながら、の意となる。「や」は疑問の係助詞である。
結句「山路越ゆらん」は、係助詞「や」を受けて「らん」の連体形で結ぶ係り結びである。目の前にない人の今を推し量る「らん」によって、都に残る者が旅の人を思う歌となる。前歌が旅の途中で詠まれた歌であるのに対し、この歌は旅立った人を送る側から詠まれている。
ははそ:コナラなどの木。秋に色づく
やまぢ:山の中の道
- 作者
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藤原宇合
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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白波の浜松が枝の手向けぐさ 幾代までにか年の経ぬらん
- 次の歌
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芦の屋の灘の塩焼きいとまなみ 黄楊の小櫛もささず来にけり