年経れば朽ちこそまされ橋柱
昔ながらの名だに変はらで
- 歌の意味
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年が経つにつれて、橋柱は朽ちることばかりがまさってゆく。長柄という昔ながらの名だけは変わらないままで。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1594
詞書「長柄の橋を詠み侍りける」
長柄の橋を詠む一連の一首目である。年を経るにつれて橋柱は朽ちてゆくばかりで、昔ながらの長柄という名だけが変わらずに残ると詠む。詞書によれば、長柄の橋を題として詠んだ歌である。
作者の「忠岑」は、平安時代前期の歌人で、『古今和歌集』の撰者の一人である。壬生忠見の父にあたる。
長柄の橋は摂津国の淀川の河口近くに架けられた橋で、現在の大阪市北区長柄のあたりとされる。『古今和歌集』の「世の中に古りぬるものは津の国の長柄の橋と我となりけり」以来、古びて朽ちたものの象徴として詠まれる。
初句「年経れば」は、年月が経つので、の意である。已然形に「ば」が付き、確定の条件を表す。
二句「朽ちこそまされ」は、朽ちることがいっそう増す、の意である。係助詞「こそ」を受けて已然形「まされ」で結び、ここで逆接的に下へ続く。
三句「橋柱」は、橋を支える柱である。体言で句が切れ、朽ちてゆく柱そのものを示す。
四句「昔ながらの」には、昔のままの、の意の「昔ながら」と、地名の「長柄」が掛けられている。
結句「名だに変はらで」は、名さえも変わらないで、の意である。「だに」は最小限を示す副助詞で、実体は朽ちても名だけは昔のまま残るという対比が一首の眼目となる。
ながら:昔のまま、の意の「ながら」と、地名の長柄を掛ける
はしばしら:橋を支える柱
- 作者
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壬生忠岑
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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難波女の衣干すとて刈りて焚く 芦火の煙立たぬ日ぞなき
- 次の歌
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春の日のながらの浜に舟とめて いづれか橋と問へど答へぬ