人住まぬ不破の関屋の板びさし
荒れにし後はただ秋の風
- 歌の意味
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人の住まなくなった不破の関屋の板びさしよ。荒れ果ててしまった後は、ただ秋の風が吹くばかりである。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1601
詞書「和歌所歌合に関路秋風といふことを」
関を詠む一首で、前の二首の須磨の関を受けて不破の関を詠む。人の住まなくなった不破の関屋の板びさしは荒れ果て、今はただ秋風が吹くばかりだと詠む。詞書によれば、和歌所の歌合で「関路秋風」の題によって詠まれた歌である。
作者の「摂政太政大臣」は藤原良経である。九条兼実の子で、摂政太政大臣に至った。『新古今和歌集』の仮名序を書いた。
和歌所は、建仁元年(1201)に後鳥羽院が勅撰集の編纂のために院の御所に設けた所である。
不破の関は美濃国に置かれた関所で、現在の岐阜県不破郡関ケ原町にあたる。古代の三関の一つであったが、延暦年間に廃され、のちには荒れた関屋が詠まれるようになった。
初句「人住まぬ」は、人の住まなくなった、の意である。関守もいない関の姿をまず示す。
二句「不破の関屋の」は、不破の関の番小屋の、の意である。前の二首の須磨の関から、東国への道にある不破の関へと移る。
三句「板びさし」は、板で葺いた庇である。体言で句が切れる三句切れで、荒れた板びさしに目を留める。
四句「荒れにし後は」は、荒れてしまった後は、の意である。完了の「に」と過去の「し」によって、荒廃がすでに久しいことを示す。
結句「ただ秋の風」は体言止めで、人の気配もなく秋風だけが吹き抜ける関屋を描く。本巻の第千五百九十六首の結句「秋風ぞ吹く」と同じく、荒れ果てた跡に秋風を置いて結んでいる。
せきや:関所の番人が詰める小屋
いたびさし:板で葺いたひさし
せきもり:関所の番人
- 作者
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藤原良経
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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須磨の関夢を通さぬ波の音を 思ひもよらで宿を借りける
- 次の歌
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海人小舟苫吹きかへす浦風に ひとりあかしの月をこそ見れ