待つ人は心ゆくともすみよしの
里にとのみは思はざらなん
- 歌の意味
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里であなたを待つ人は満ち足りた思いでいようとも、住吉の里を住みよい所だとばかりは思わないでほしい。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1607
詞書「大弐三位里に出で侍りにけるを聞こし召して」
浦の松を詠む一連の二首目である。里で待つ人は満ち足りていようとも、住吉の里を住みよい所だとばかりは思わないでほしいと詠む。詞書によれば、大弐三位が宮中を退いて里に下がったことを天皇が聞いて詠み贈った歌である。
作者の「後冷泉院御歌」は、後冷泉天皇の歌の意である。後冷泉天皇は後朱雀天皇の皇子で、大弐三位はその乳母を務めた。
次歌の第千六百八首は、大弐三位の返歌である。
初句「待つ人は」は、里で大弐三位を待っている人は、の意である。この「待つ」は、次歌で住吉の「松」と結び付けて受け取られる。
二句「心ゆくとも」は、満足していようとも、の意である。「とも」は逆接の仮定を表す。
三句「すみよしの」には、地名の「住吉」と、住みよい、の意の「住み良し」が掛けられている。
四句「里にとのみは」は、里にとばかりは、の意である。「のみ」によって、里だけに心を寄せないでほしいという思いを示す。
結句「思はざらなん」は、打消しの「ざら」に、他に対する願望の終助詞「なん」が付き、思わないでほしい、の意となる。宮中に早く戻ることを促す、親しみのこもった呼びかけである。
すみよし:地名の住吉と、住みよい、の意の住み良しを掛ける
さと:宮仕えする人の実家
きこしめす:お聞きになる
- 作者
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後冷泉天皇
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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大淀の浦に立つ波かへらずは 松の変はらぬ色を見ましや
- 次の歌
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住吉の松はまつとも思ほえで 君が千歳のかげぞ恋しき