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住吉の松はまつとも思ほえで
君が千歳のかげぞ恋しき

歌の意味
住吉の松が私を待っているとも思われず、ただ千年も栄える君の御恵みのもとが恋しく思われる。
鑑賞
巻第十七 雑歌中 1608

詞書「御返し」
 浦の松を詠む一連の三首目で、前歌への返歌である。住吉の松が自分を待っているとも思われず、ただ千年も栄える君の御蔭が恋しいと詠む。
 作者の「大弐三位」は藤原賢子である。紫式部の娘で、後冷泉天皇の乳母を務めた。大宰大弐高階成章の妻となり、従三位に叙された。

 初句「住吉の」は、前歌の「すみよしの」を受けて、住吉の松へと話を移す。
 二句「松はまつとも」の「まつ」には、住吉の「松」と、待つ、の意が掛けられている。前歌の初句「待つ人は」を、住吉の松に置き換えて応じている。
 三句「思ほえで」は、思われないで、の意である。里の方には待つ者もいないと、前歌の「心ゆくとも」を打ち消して答える。
 四句「君が千歳の」は、千年も続く君の、の意である。千年の寿命をもつとされる松に寄せて、天皇の長寿を祝う。
 結句「かげぞ恋しき」の「かげ」には、松の木陰と、君の御恵み、の意が掛けられている。係助詞「ぞ」を受けて連体形「恋しき」で結ぶ係り結びで、宮中への思いを示して返歌を結ぶ。

まつ:住吉の松と、待つ意を掛ける
かげ:松の木陰と、君の御恵みの意を掛ける
ちとせ:千年。長い年月
作者
藤原賢子
出典
新古今和歌集
前の歌
待つ人は心ゆくともすみよしの 里にとのみは思はざらなん
次の歌
うち寄する波の声にてしるきかな 吹上の浜の秋の初風