沖つ風夜寒になれや田子の浦の
海人の藻塩火焚きまさるらん
- 歌の意味
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沖の風が夜寒になったからだろうか、田子の浦の海人の藻塩火がいっそう盛んに焚かれている。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1610
詞書「百首歌奉りし時海辺歌」
諸国の浦を詠む一連の二首目である。沖の風が夜寒になったからか、田子の浦の海人の藻塩火がいっそう盛んに焚かれていると詠む。詞書によれば、百首歌を奉った折の、海辺を題とした歌である。
作者の「越前」は、鎌倉時代初めの女房歌人で、後鳥羽院に仕えた。
田子の浦は駿河国の海辺で、富士の山を望む浦として詠まれる歌枕である。
初句「沖つ風」は、沖の風、の意である。本巻の第千五百九十七首と同じ初句で始まる。
二句「夜寒になれや」は、夜寒になったからだろうか、の意である。已然形「なれ」に疑問の係助詞「や」が付き、原因を推し量る。
三句「田子の浦の」は、駿河の田子の浦の、の意である。六音の字余りとなっている。
四句「海人の藻塩火」は、海人が藻塩を焼く火である。第千五百九十首からの塩焼きの一連とも、海人の火の景が響き合う。
結句「焚きまさるらん」は、いっそう盛んに焚いているのだろう、の意である。二句の「や」を受けて「らん」の連体形で結ぶ係り結びである。夜寒に火が強まるという、寒さと火の対比を描く。
よさむ:秋の夜の寒さ
もしほ:海藻に海水を注ぎ、焼いて作る塩
もしほび:藻塩を焼く火
- 作者
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越前
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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うち寄する波の声にてしるきかな 吹上の浜の秋の初風
- 次の歌
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見わたせば霞のうちも霞みけり 煙たなびく塩竈の浦