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山里は世の憂きよりは住みわびぬ
ことのほかなる峰の嵐に

歌の意味
山里は、世の中のつらさよりもかえって住みづらくなってしまった。思いのほかに激しい峰の嵐のために。
鑑賞
巻第十七 雑歌中 1623

詞書「鳥羽にて歌合し侍りしに山家嵐といふことを」
 山の住まいに吹く風を詠む一連の三首目である。世のつらさを逃れて来た山里は、思いのほか激しい峰の嵐のために、世の中よりもかえって住みにくくなったと詠む。詞書によれば、鳥羽で催された歌合で「山家嵐」の題によって詠まれた歌である。
 作者の「宜秋門院丹後」は、後鳥羽天皇の中宮宜秋門院任子に仕えた女房である。
 鳥羽は都の南の地で、院の離宮が営まれた。

 初句「山里は」は、主題となる山里を示す。
 二句「世の憂きよりは」は、世の中のつらさよりは、の意である。山里を世の中と比べる尺度を示す。
 三句「住みわびぬ」は、住みづらくなってしまった、の意である。完了の「ぬ」で句が切れる三句切れである。
 四句「ことのほかなる」は、思いのほかの、格別な、の意である。
 結句「峰の嵐に」は、峰から吹き下ろす嵐のために、の意である。倒置によって、住みわびる理由を結句で明かしている。世を逃れた山里の方がつらいという反転は、本巻の第千六百二十首の「厭ひてもなほ厭はしき世」とも響き合う。

すみわぶ:住むのがつらくなる
やまが:山の中の家
作者
宜秋門院丹後
出典
新古今和歌集
前の歌
誰かはと思ひ絶えてもまつにのみ 訪れてゆく風は恨めし
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滝の音松の嵐も慣れぬれば うち寝るほどの夢は見せけり