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滝の音松の嵐も慣れぬれば
うち寝るほどの夢は見せけり

歌の意味
滝の音も松の嵐も、慣れてしまったので、少しまどろむほどの間の夢は見せてくれたことだ。
鑑賞
巻第十七 雑歌中 1624

詞書「百首歌奉りしに」
 山の住まいに吹く風を詠む一連の四首目である。滝の音も松の嵐も耳に慣れたので、少しまどろむ間の夢は見られるようになったと詠む。詞書によれば、百首歌を奉った折の歌である。
 作者の「家隆朝臣」は、藤原光隆の子で、『新古今和歌集』の撰者の一人である。藤原俊成に和歌を学んだ。

 初句「滝の音」は、山の住まいに絶えず聞こえる滝の音である。
 二句「松の嵐も」は、松に吹く嵐も、の意である。「も」によって、滝の音と並べて山住まいの騒がしい音を挙げる。
 三句「慣れぬれば」は、慣れてしまったので、の意である。已然形に「ば」が付き、確定の条件を表す。本巻の第千六百二十一首が「慣れなば」と慣れることを仮定したのに対し、ここではすでに慣れたことをいう。
 四句「うち寝るほどの」は、ちょっと寝るほどの間の、の意である。「うち」は軽い意を添える接頭語である。
 結句「夢は見せけり」は、夢は見せてくれた、の意である。「けり」は気づきの詠嘆で、嵐の音に慣れて、ようやく短い夢を得たことを詠む。前歌の住みわびる嵐に対し、嵐に慣れた後の姿を描く。

うちぬ:ちょっと寝る。まどろむ
作者
藤原家隆
出典
新古今和歌集
前の歌
山里は世の憂きよりは住みわびぬ ことのほかなる峰の嵐に
次の歌
事しげき世を逃れにし深山辺に 嵐の風も心して吹け