奥山の苔の衣にくらべ見よ
いづれか露の置きまさるとも
- 歌の意味
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奥山で着るあなたの苔の衣と、私の袖とを比べてみなさい。どちらに露が多く置いているかと。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1626
詞書「少将高光横川にまかりて頭おろし侍りにけるに法服遣はすとて」
苔の衣を詠む贈答の一首目である。奥山で着る苔の衣と比べてみよ、どちらに露が多く置いているかと、出家した甥に法服を贈って詠む。詞書によれば、少将高光が比叡山の横川で出家したとき、法服を贈るのに添えた歌である。
作者の「権大納言師氏」は藤原師氏である。関白藤原忠平の子で、権大納言に至った。
詞書の「少将高光」は、右大臣藤原師輔の子の高光で、作者の甥にあたる。若くして横川で出家し、如覚と名のった。
横川は比叡山の三塔の一つである。次歌の第千六百二十七首は、高光の返歌である。
初句「奥山の」は、出家した高光が住む山の奥をいう。
二句「苔の衣に」は、苔の衣と、の意である。苔の衣は、僧や隠者の粗末な衣をいう。
三句「くらべ見よ」は、比べてみよ、の意の命令形で、ここで句が切れる三句切れとなる。
四句「いづれか露の」は、どちらに露が、の意である。露は、別れを悲しむ作者の袖の涙をたとえる。「か」は疑問を表す。
結句「置きまさるとも」は、多く置いているかと、の意である。倒置によって、比べる内容を結句で示す。山の露の多さに、自分の涙の多さを競わせて、出家を惜しむ思いを伝える。
こけのころも:僧や隠者の着る粗末な衣
かしらおろす:髪を剃って出家する
ほふぶく:僧の着る衣
- 作者
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藤原師氏
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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事しげき世を逃れにし深山辺に 嵐の風も心して吹け
- 次の歌
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白露の朝夕べにおく山の 苔の衣は風もさはらず