われながら思ふかものをとばかりに
袖にしぐるる庭の松風
- 歌の意味
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自分ながら物思いをしているのかと思うほどに、袖に時雨が降るように涙を誘う、庭の松風であることよ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1638
詞書「春日歌合に松風といへる事を」
庭の松風を詠む一首で、前歌の宿の松を受ける。われながら物思いをしているのかと思うほどに、庭の松風が袖に時雨のような涙を誘うと詠む。詞書によれば、春日歌合で「松風」の題によって詠まれた歌である。
作者の「有家朝臣」は、藤原重家の子で、『新古今和歌集』の撰者の一人である。
春日歌合は、春日社に奉納された歌合である。
初句「われながら」は、自分のことながら、の意である。
二句「思ふかものを」は、物思いをしているのか、の意である。「もの思ふ」の語順を入れ替えて、疑いの「か」を挟んでいる。
三句「とばかりに」は、と思うほどに、の意である。
四句「袖にしぐるる」は、袖に時雨が降る、の意で、涙に濡れることをたとえる。松風の音を時雨の音に聞きなしている。
結句「庭の松風」は体言止めで、涙を誘うものの正体を結句で明かしている。前歌の「宿の松」を受けて、庭の松に吹く風が詠まれる。
しぐる:時雨が降る。涙を流す
- 作者
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藤原有家
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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今はとて爪木こるべき宿の松 千代をば君と猶祈るかな
- 次の歌
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世を背く所とか聞く奥山は もの思ひにぞ入るべかりける