世を背く所とか聞く奥山は
もの思ひにぞ入るべかりける
- 歌の意味
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世を背く人の住む所と聞いていた奥山は、実は物思いに沈むために入るべき所であったのだ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1639
詞書「山寺に侍りけるころ」
世を背く山を詠む一連の一首目である。世を背く所と聞く奥山は、実は物思いに入るための所であったと詠む。詞書によれば、山寺に籠っていた頃の歌である。
作者の「道命法師」は、藤原道綱の子で、天王寺の別当を務めた。読経の声のすぐれた僧として知られ、中古三十六歌仙の一人である。
初句「世を背く」は、世を捨てる、の意である。
二句「所とか聞く」は、所と聞いている、の意である。「か」は疑問の係助詞で、聞き伝えであることを示す。
三句「奥山は」は、世を背く人の籠る奥山を主題として取り立てる。
四句「もの思ひにぞ」は、物思いに、の意である。係助詞「ぞ」によって、世を背くためではなく物思いのためであることを強める。
結句「入るべかりける」は、係助詞「ぞ」を受けて過去の「けり」の連体形「ける」で結ぶ係り結びである。山に「入る」ことと物思いに「入る」ことを重ね、籠ってみて初めて気づいた思いを詠む。前歌の庭の松風が物思いを誘うのを受けている。
そむく:世を捨てる。出家する
やまでら:山の中にある寺
- 作者
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道命
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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われながら思ふかものをとばかりに 袖にしぐるる庭の松風
- 次の歌
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世を背く方はいづくにありぬべし 大原山は住みよかりきや