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かざし折る三輪の繁山かき分けて
あはれとぞ思ふ杉立てる門

歌の意味
かざしの枝を折る三輪の茂った山をかき分けて来て、しみじみと心打たれることだ、杉の立っている門を見ると。
鑑賞
巻第十七 雑歌中 1644

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 山里の奥を詠む一連の三首目である。かざしの枝を折る三輪の茂った山をかき分けて来て、杉の立つ門にしみじみと心打たれると詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
 作者の「殷富門院大輔」は、藤原信成の娘で、後白河天皇の皇女殷富門院亮子内親王に仕えた女房である。
 三輪山は大和国の山で、大神神社の神体山として祀られ、杉が神木とされる。
 『古今和歌集』のよみ人しらずの歌「わが庵は三輪の山もと恋しくはとぶらひ来ませ杉立てる門」を本歌とし、その結句「杉立てる門」をそのまま結句に用いている。

 初句「かざし折る」は、かざしにする枝を折る、の意である。神事に用いる杉の枝を思わせ、三輪の神域を示す。
 二句「三輪の繁山」は、木々の生い茂る三輪山である。
 三句「かき分けて」は、茂みを分けて進んで、の意である。前歌の「なほ山深く分け入らん」を受け、実際に山を分け入る姿を描く。
 四句「あはれとぞ思ふ」は、しみじみと心打たれる、の意である。係助詞「ぞ」を受けて連体形「思ふ」で結ぶ係り結びで、ここで句が切れる四句切れとなる。
 結句「杉立てる門」は体言止めで、本歌の結句をそのまま用いる。本歌の「訪ねて来てほしい」という誘いに、実際に訪ね来た者の感慨を応じさせている。

かざし:髪や冠に挿す花や枝
しげやま:木々の生い茂った山
作者
殷富門院大輔
出典
新古今和歌集
前の歌
枝折せでなほ山深く分け入らん 憂きこと聞かぬ所ありやと
次の歌
いつとなきをぐらの山の陰を見て 暮れぬと人の急ぐなるかな