- 歌の意味
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世を背いて籠った南の山に吹く松風のために、あなたの苔の衣は夜寒で冷たいことだろうか。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1663
詞書「相知れりける人の熊野に籠り侍りけるに遣はしける」
熊野に籠る人を詠む一連の二首目である。世を背いて籠った南の山の松風に、苔の衣は夜寒であろうかと、熊野に籠る知人を思いやる。詞書によれば、親しかった人が熊野に籠っていたので贈った歌である。
作者の「安法法師」は、源融の曾孫で、融の旧邸である河原院に住んだ僧である。中古三十六歌仙の一人である。
初句「世を背く」は、世を捨てる、の意で、次の「山」を修飾する。
二句「山の南の」は、都から見て南にある山の、の意で、紀伊国の熊野を指す。前歌の熊野の音無川を受けている。
三句「松風に」は、松に吹く風によって、の意である。
四句「苔の衣や」は、僧の着る粗末な衣は、の意である。「や」は疑問の係助詞である。
結句「夜寒なるらん」は、係助詞「や」を受けて「らん」の連体形で結ぶ係り結びである。遠い熊野の夜寒を思いやる。前歌が修行する側から便りを求めたのに対し、ここでは都に残る側から修行者を思いやる。
こけのころも:僧や隠者の着る粗末な衣
よさむ:秋の夜の寒さ
- 作者
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安法
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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わくらばになどかは人の問はざらん 音無川に住む身なりとも
- 次の歌
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いつか我苔の袂に露置きて 知らぬ山路の月を見るべき