忘れじの人だに訪はぬ山路かな
桜は雪に降り変はれども
- 歌の意味
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忘れまいと言った人さえも訪ねて来ない山道であることよ。桜は雪へと降り変わったけれども。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1667
詞書は前の歌に続き「百首歌奉りしに山家の心を」
山の住まいと山路を詠む一連の四首目である。忘れまいと言った人さえも訪ねて来ない山路であり、桜は雪へと降り変わったのにと詠む。詞書によれば、百首歌を奉った折に、山家を題として詠んだ歌である。
作者の「摂政太政大臣」は藤原良経である。九条兼実の子で、摂政太政大臣に至った。『新古今和歌集』の仮名序を書いた。
初句「忘れじの」は、忘れまいと言った、の意である。「じ」は打消しの意志を表す。
二句「人だに訪はぬ」は、その人さえも訪ねて来ない、の意である。「だに」は、まして他の人は、という含みを示す。
三句「山路かな」は、山道であることよ、の意である。「かな」の詠嘆で句が切れる三句切れとなる。前の二首の「山路」を受けている。
四句「桜は雪に」は、桜は雪へと、の意である。
結句「降り変はれども」は、降るものが変わったけれども、の意である。春に散る桜から冬の雪へと、降るものが移るほどの時が過ぎたことを示す。本巻の第千六百六十首の、訪れがしだいに遠のく山里とも響き合う。
ふりかはる:降るものが別のものに変わる
- 作者
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藤原良経
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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樒摘む山路の露に濡れにけり 暁起きの墨染の袖
- 次の歌
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影宿す露のみしげくなり果てて 草にやつるる故郷の月