煙絶えて焼く人もなき炭竈の
跡のなげきを誰か樵るらん
- 歌の意味
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煙が絶えて、焼く人もいなくなった炭竈の跡に残る投げ木を、そしてあとに残された者の嘆きを、いったい誰が樵るのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1669
詞書「俊恵法師身まかりて後、年ごろ遣はしける薪など弟子どものもとに遣はすとて」
荒れた住まいを詠む一連の二首目である。煙が絶えて焼く人もない炭竈の跡の投げ木を、誰が樵るのだろうかと、亡き俊恵を悼んで詠む。詞書によれば、俊恵法師が亡くなった後、長年贈っていた薪などを弟子たちのもとに贈るのに添えた歌である。
作者の「賀茂重保」は、賀茂別雷神社の神主で、『月詣和歌集』を撰んだ。
俊恵は源俊頼の子で、京の白河の僧坊を歌林苑と名づけ、多くの歌人を集めて歌会を催した。
初句「煙絶えて」は、煙が絶えて、の意である。炭竈の火が絶えたことに、俊恵の死を重ねる。六音の字余りである。
二句「焼く人もなき」は、炭を焼く人もいない、の意である。
三句「炭竈の」は、炭を焼くかまの、の意である。俊恵の庵を炭竈にたとえている。本巻の第千六百四十一首の大原の炭竈とも響き合う。
四句「跡のなげきを」の「なげき」には、残された者の「嘆き」の意と、炭竈にくべる「投げ木」が掛けられている。「炭竈」と「投げ木」は縁語である。
結句「誰か樵るらん」は、係助詞「か」を受けて「らん」の連体形で結ぶ係り結びである。贈る薪を受け取る主のいない悲しみを、薪を樵る者はいないと詠んでいる。前歌の荒れた故郷に続き、主を失った住まいを詠む。
すみがま:炭を焼くかま
なげき:嘆きの意と、炭竈にくべる投げ木を掛ける
こる:木を伐る
みまかる:亡くなる
- 作者
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賀茂重保
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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影宿す露のみしげくなり果てて 草にやつるる故郷の月
- 次の歌
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八十あまり西の迎へを待ちかねて 住み荒らしたる柴の庵ぞ