山里に訪ひ来る人の言種は
この住まゐこそ羨ましけれ
- 歌の意味
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山里に訪ねて来る人の口癖は、決まって「この住まいこそうらやましい」というものだ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1671
詞書「山家歌あまた詠み侍りけるに」
山里の住まいを詠む一首である。山里に訪ねて来る人の口癖は、この住まいこそうらやましいというものだと詠む。詞書によれば、山家の歌を数多く詠んだ折の歌である。
作者の「前大僧正慈円」は、関白藤原忠通の子で、九条兼実の弟である。天台座主を四度務め、史論『愚管抄』を著した。
初句「山里に」は、自分の住む山里に、の意である。本巻の第千六百五十八首からの一連と同じ初句で始まる。
二句「訪ひ来る人の」は、訪ねて来る人の、の意である。前の一連で訪れの絶えた山里に対し、ここではたまに訪れる人が詠まれる。
三句「言種は」は、口癖は、の意である。
四句「この住まゐこそ」は、この住まいこそ、の意である。係助詞「こそ」によって強める。
結句「羨ましけれ」は、係助詞「こそ」を受けて已然形「羨ましけれ」で結ぶ係り結びである。うらやましいと口にしながら、誰も山里に住もうとはしない人々への、軽い皮肉がこもる。前歌の荒れた庵の主の姿と対照をなしている。
ことぐさ:口癖。いつも言う言葉
すまゐ:住まい
- 作者
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慈円
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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八十あまり西の迎へを待ちかねて 住み荒らしたる柴の庵ぞ
- 次の歌
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斧の柄の朽ちし昔は遠けれど ありしにもあらぬ世をも経るかな