明け暮れは昔をのみぞしのぶ草
葉末の露に袖濡らしつつ
- 歌の意味
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朝に夕に、ただ昔ばかりを偲んでいる。しのぶ草の葉先の露のような涙に、袖を濡らしながら。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1674
詞書「老いの後、昔を思ひ出で侍りて」
昔を偲ぶ述懐の一連の三首目である。明け暮れ昔ばかりを偲び、しのぶ草の葉末の露のような涙に袖を濡らすと詠む。詞書によれば、年老いてから昔を思い出して詠んだ歌である。
作者の「祝部成仲」は、日吉社の禰宜を務めた神官である。
初句「明け暮れは」は、朝に夕に、いつも、の意である。
二句「昔をのみぞ」は、昔ばかりを、の意である。係助詞「ぞ」によって強める。
三句「しのぶ草」の「しのぶ」には、昔を「偲ぶ」の意と、「忍ぶ草」が掛けられている。係助詞「ぞ」を受けて連体形「しのぶ」で結ぶ係り結びとなり、ここで句が切れる三句切れとなる。
四句「葉末の露に」は、しのぶ草の葉先の露に、の意である。露は涙をたとえる。
結句「袖濡らしつつ」は、袖を濡らしながら、の意である。「つつ」は繰り返しを表し、明け暮れ続く涙を示す。前の二首の述懐を受け、老いて昔を偲ぶ涙で一連を結ぶ。
しのぶぐさ:昔を偲ぶ意と、シダの一種の忍ぶ草を掛ける
はずゑ:葉の先
- 作者
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祝部成仲
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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いかにせん賤が園生の奥の竹 かき籠るともよの中ぞかし
- 次の歌
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岡の辺の里のあるじを尋ぬれば 人は答へず山おろしの風