岡の辺の里のあるじを尋ぬれば
人は答へず山おろしの風
- 歌の意味
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岡のあたりの里の主を訪ねてみると、人は答えず、ただ山から吹き下ろす風の音がするばかりである。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1675
詞書「題しらず」
古びた野と里を詠む一連の一首目である。岡のほとりの里の主を訪ねると、人は答えず、山おろしの風が吹くばかりだと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「前大僧正慈円」は、関白藤原忠通の子で、九条兼実の弟である。天台座主を四度務め、史論『愚管抄』を著した。
初句「岡の辺の」は、岡のほとりの、の意である。
二句「里のあるじを」は、里の主人を、の意である。
三句「尋ぬれば」は、訪ねると、の意である。已然形に「ば」が付き、確定の条件を表す。
四句「人は答へず」は、人は答えない、の意である。ここで句が切れる四句切れとなる。本巻の第千五百九十五首の「問へど答へぬ」と同じく、尋ねても答える者のいない寂しさを詠む。
結句「山おろしの風」は体言止めで、人の答えの代わりに吹く山おろしの風を置く。前の一連の昔を偲ぶ心を受け、主のいなくなった里を描く。
やまおろし:山から吹き下ろす風
あるじ:主人
- 作者
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慈円
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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明け暮れは昔をのみぞしのぶ草 葉末の露に袖濡らしつつ
- 次の歌
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古畑のそばの立つ木にゐる鳩の 友呼ぶ声のすごき夕暮