いにしへを思ひやりてぞ恋ひわたる
荒れたる宿の苔の石橋
- 歌の意味
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昔のことを思いやって、ずっと慕い続けている。荒れた家の、苔むした石橋を見ながら。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1685
詞書「主なき宿を」
主なき宿と絶えた訪れを詠む一連の二首目である。主のいない荒れた家の苔むした石橋を見て、昔を思いやり慕い続けると詠む。詞書によれば、主のいない家を題として詠んだ歌である。
作者の「恵慶法師」は、平安時代中期の歌僧で、中古三十六歌仙の一人である。
初句「いにしへを」は、昔を、の意である。
二句「思ひやりてぞ」は、思いやって、の意である。係助詞「ぞ」によって強める。
三句「恋ひわたる」は、慕い続ける、の意である。係助詞「ぞ」を受けて連体形「わたる」で結ぶ係り結びで、ここで句が切れる三句切れとなる。「わたる」は、結句の「石橋」と縁語をなす。
四句「荒れたる宿の」は、前歌の四句「荒れたる宿に」と同じ語を受けている。
結句「苔の石橋」は体言止めで、苔むして渡る人もない石橋を置いて結ぶ。橋を渡る人の絶えたことに、主の不在を示す。
こひわたる:慕い続ける
いしばし:庭の池などに架けた石の橋
- 作者
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恵慶
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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石上古りにし人を尋ぬれば 荒れたる宿に菫摘みけり
- 次の歌
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わくらばに訪はれし人も昔にて それより庭の跡は絶えにき