あしひきのこなたかなたに道はあれど
都へいざといふ人ぞなき
- 歌の意味
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山のあちらこちらに道はあるけれども、「さあ都へ」と誘ってくれる人はいない。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1690
詞書「山」
山を題とする一首で、巻第十八の巻頭歌である。本巻は一字の題を詠んだ菅原道真の歌十二首から始まり、本歌はその一首目である。山のあちこちに道は通じていても、都へ帰ろうと誘ってくれる人はいない、と詠む。大宰府に流された道真の、帰京の望みが絶たれた嘆きがこもる歌と解されている。
作者の「菅贈太政大臣」は菅原道真である。菅原是善の子で、学者、漢詩人として知られ、宇多天皇の信任を得て右大臣に至った。醍醐天皇の代に大宰権帥に左遷され、延喜三年に配所で没した。没後に太政大臣を追贈されたため、この呼称で記される。
初句「あしひきの」は「山」にかかる枕詞である。題の「山」を歌の中で直接には言わず、枕詞によって山を思わせている。
二句「こなたかなたに」は、あちらこちらに、の意である。山中の道が四方へ通じているさまをいう。
三句「道はあれど」の「ど」は逆接の接続助詞である。道はいくらでもあるのに、という前提を置き、下の句の嘆きを導く。
四句「都へいざと」の「いざ」は、人を誘うときに発する語である。都へ帰ろうと声をかけてくれる人を思い描いている。
結句「いふ人ぞなき」は、係助詞「ぞ」を受けて形容詞の連体形「なき」で結ぶ係り結びである。道の多さと、誘う人のなさとが対比され、帰ることのかなわない孤独が強く示される。
だざいのごんのそち:大宰府の長官である帥の権官。左遷された高官に与えられる名目上の官
- 作者
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菅原道真
- 出典
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新古今和歌集
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朝倉や木の丸殿に我が居れば 名のりをしつつ行くは誰が子ぞ
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天の原あかねさし出づる光には いづれの沼かさえ残るべき