流れ木と立つ白波と焼く塩と
いづれかからきわたつみの底
- 歌の意味
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流れ木と、立つ白波と、焼く塩と、どれがいちばんからく、つらいのだろうか。この海の底では。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1701
詞書「波」
波を題とする一首で、菅原道真の一字題の歌十二首の十二首目、すなわち一連の最後の歌である。流れ木と白波と焼く塩のうち、どれが最もからいのか、と海のものを並べて問いかける。塩のからさに、配所で味わうつらさを重ねている。
作者の「菅贈太政大臣」は菅原道真である。原文に作者名はなく、前歌から続く。菅原是善の子で、学者、漢詩人として知られ、右大臣に至ったが、醍醐天皇の代に大宰権帥に左遷され、配所で没した。没後に太政大臣を追贈されたため、この呼称で記される。
初句「流れ木と」は、海を漂う流木をいう。寄る辺なく流されるものとして、作者の身の上を思わせる。
二句「立つ白波と」は、題の「波」を詠み込む。波の立ち騒ぐ荒々しい海を示す。
三句「焼く塩と」は、海水を煮つめて塩を作ることをいう。「と」を三度重ねて海のものを列挙し、調子を整えている。
四句「いづれかからき」の「からき」は、塩からい意と、つらく苦しい意とを掛ける掛詞である。「か」は疑問の係助詞で、連体形「からき」で結ぶ係り結びとなる。
結句「わたつみの底」は、海の底、の意である。体言止めで一首を閉じ、海の底に沈むような心を示して、道真の一連を結んでいる。
ながれぎ:水に流され漂う木。流木
からし:塩からい意と、つらく苦しい意を掛ける
わたつみ:海。もとは海の神をいう
- 作者
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菅原道真
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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彦星の行き逢ひを待つかささぎの 門渡る橋を我に貸さなむ
- 次の歌
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さざなみの比良山風の海吹けば 釣りする海人の袖かへる見ゆ