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尽きもせぬ光の間にもまぎれなで
老いてかへれるかみのつれなさ

歌の意味
尽きることのないあなたの栄えの光の中にもまぎれることなく、老いたわたしのもとに返ってきた髪飾りの、なんと素知らぬ顔であることか。
鑑賞
巻第十八 雑歌下 1713

詞書「返し」
 出家に際して衣や飾りを贈り、また返す歌の三首目で、前歌への返歌である。尽きることのない栄えの光の中にまぎれて消えもせず、老いた自分のもとへ返ってきた髪飾りのつれなさよ、と詠む。贈った飾りが戻ってきたことに、相手の出家を惜しむ心を託している。
 作者の「冷泉院太皇太后宮」は昌子内親王である。朱雀天皇の皇女で、冷泉天皇の皇后となり、のちに太皇太后となった。

 初句「尽きもせぬ」は、尽きることのない、の意である。相手の変わらぬ栄えをたたえている。
 二句「光の間にも」は、その栄えの光の中にも、の意である。前歌の「玉」の輝きを受け、后としての光を思わせる。
 三句「まぎれなで」の「なで」は打消の意を表し、まぎれることもなく、の意である。光に紛れて失われもしなかった髪飾りをいう。
 四句「老いてかへれる」は、老いた自分のもとへ返ってきた、の意である。前歌の「うちかへし」を「かへれる」と受けている。「る」は存続の助動詞「り」の連体形である。
 結句「かみのつれなさ」の「かみ」は髪飾りをいう。前歌の初句「そのかみの」に応じている。体言止めで、返ってきた飾りのつれなさを嘆き、相手の出家を惜しむ心を示す。

まぎる:入り混じって見分けがつかなくなる
つれなさ:素知らぬさま。冷淡さ
作者
昌子内親王
出典
新古今和歌集
前の歌
そのかみの玉のかつらをうちかへし 今は衣の裏を頼まむ
次の歌
かはるらむ衣の色を思ひやる 涙や裏の玉にまがはむ