- 歌の意味
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あなたの変わってしまったであろう衣の色を思いやって流すわたしの涙は、衣の裏の玉と見分けがつかなくなるだろうか。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1714
詞書「上東門院出家の後、黄金の装束したる沈の数珠、銀の箱に入れて梅の枝につけて奉られける」
出家に際して衣や飾りを贈り、また返す歌の四首目である。墨染に変わったであろう姉の衣の色を思いやると涙がこぼれ、その涙が衣の裏の玉と見分けがつかなくなるだろうか、と詠む。詞書によれば、上東門院の出家の後、黄金の飾りを付けた沈香の数珠を銀の箱に入れ、梅の枝に付けて贈ったときの歌である。
作者の「枇杷皇太后宮」は藤原妍子である。藤原道長の娘で、三条天皇の中宮となり、のちに皇太后となった。枇杷殿に住んだことからこの呼称で記される。上東門院彰子の妹にあたる。
上東門院は藤原彰子で、道長の娘、一条天皇の中宮である。後一条、後朱雀両天皇の母で、のちに出家して女院となった。
初句「かはるらむ」の「らむ」は現在推量の助動詞である。出家して衣の色が変わったであろうと、離れた所から推し量っている。
二句「衣の色を」は、華やかな衣から墨染の法衣に変わった色をいう。
三句「思ひやる」は、遠く離れた相手の身の上を思いやる、の意で、四句の「涙」にかかる。
四句「涙や裏の」の「や」は疑問の係助詞である。「裏の玉」は、前々歌と同じく『法華経』の衣裏繋珠の喩えを踏まえ、贈った数珠の玉をも思わせる。
結句「玉にまがはむ」は、係助詞「や」を受けて推量の助動詞「む」の連体形で結ぶ係り結びである。涙の粒を玉に見立て、姉の出家を思う涙の多さを示している。
ぢん:沈香。香木の一種
まがふ:入り混じって見分けがつかなくなる
- 作者
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藤原妍子
- 出典
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新古今和歌集
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尽きもせぬ光の間にもまぎれなで 老いてかへれるかみのつれなさ
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まがふらむ衣の玉に乱れつつ なほまださめぬ心地こそすれ