都より雲の八重立つ奥山の
横川の水はすみよかるらむ
- 歌の意味
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都から見れば雲が幾重にも立ちこめる奥山の、横川の水は澄んでいて、住みよいのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1718
詞書「少将高光横川に登りて頭おろし侍りにけるを聞かせ給ひてつかはしける」
出家した人と都の人とが交わした贈答の一首目である。都から雲が幾重にも隔てる奥山の横川の水は澄んでいて、住みよいのだろうか、と問いかける。詞書によれば、少将藤原高光が比叡山の横川に登って出家したと聞いて、天皇が贈った歌である。出家を惜しみつつ、その山住みを思いやる心がこもる。
作者の「天暦御歌」は村上天皇の歌である。醍醐天皇の皇子で、その治世は天暦の治とたたえられた。梨壺に和歌所を置き、『後撰和歌集』の撰進を命じた。
藤原高光は藤原師輔の子で、右少将であったが、応和元年に比叡山横川で出家し、法名を如覚といった。のちに多武峰に移った。三十六歌仙の一人に数えられる。横川は比叡山の三塔の一つである。
初句「都より」は、都から見て、の意である。都にいる天皇の立場をまず示す。
二句「雲の八重立つ」は、雲が幾重にも立ちこめる、の意である。都と山とを隔てる遠さを表し、次歌でも同じ句が繰り返される。
三句「奥山の」は、人里離れた深い山をいい、比叡山の奥を指す。
四句「横川の水は」は、横川を流れる水である。題の地名を詠み込み、山住みの暮らしを水で象徴させている。
結句「すみよかるらむ」の「すみ」は、水が澄む意と、住む意とを掛ける掛詞である。「らむ」は現在推量の助動詞で、遠く離れた山での暮らしを推し量っている。
すむ:水が澄む意と、住む意を掛ける
かしらおろす:髪を剃って出家する
- 作者
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村上天皇
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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いにしへの海人や煙となりぬらむ 人目も見えぬ塩竈の浦
- 次の歌
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ももしきの内のみ常に恋しくて 雲の八重立つ山はすみうし