ひとり寝の今宵も明けぬ誰としも
頼まばこそは来ぬも恨みめ
- 歌の意味
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ひとり寝の今夜も明けてしまった。誰と決めて頼みにしているのならば、来ないことも恨もうが、そうではないのだから。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1730
詞書「遊女の心をよみ侍りける」
遊女の身になって詠んだ歌である。ひとり寝のまま今夜も明けてしまったが、誰か決まった人を頼みにしているのなら来ないことを恨みもしようが、そうでもない、と詠む。詞書によれば、遊女の心を題として詠んだ歌で、特定の相手を持たない身の寂しさと諦めを描いている。
作者の「藤原為忠朝臣」は、藤原知信の子である。丹後守などを務め、家で百首歌を催した。寂念、寂超、寂然の三兄弟の父である。
初句「ひとり寝の」は、共寝する相手のいない夜をいう。
二句「今宵も明けぬ」の「ぬ」は完了の助動詞である。「も」に、今夜もまた、という繰り返しの嘆きがこもり、ここで句切れとなる。
三句「誰としも」は、誰と決めて、の意である。「しも」は強意で、特定の誰かを、と強める。
四句「頼まばこそは」は、頼みにしているのならば、の意である。係助詞「こそ」が結句の已然形「恨みめ」と呼応する。
結句「来ぬも恨みめ」は、係助詞「こそ」を受けて推量の助動詞「む」の已然形「め」で結ぶ係り結びである。頼む相手がいないから恨むこともできない、という逆説で、遊女の寄る辺なさを浮かび上がらせている。
ひとりね:ひとりで寝ること
たのむ:頼りにする。あてにする
- 作者
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藤原為忠
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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言の葉の中をなくなく尋ぬれば 昔の人に逢ひ見つるかな
- 次の歌
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草分けて立ち居る袖のうれしさに 絶えず涙の露ぞこぼるる