- 歌の意味
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何を思い悩んでいる人なのかと人が尋ねたならば、答えもしないうちに涙で袖が濡れてしまうにちがいない。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1754
詞書は前の歌に続き「述懐の心をよめる」
世を背くことを詠む歌の八首目で、慈円の歌三首の一首目である。何を思い悩む人かと問われたら、答えるより先に涙で袖が濡れるだろう、と詠む。言葉にならないほどの深い憂いを抱えていることを述べている。
作者の「前大僧正慈円」は、藤原忠通の子で、九条兼実の弟にあたる。天台座主を四度務め、史論書『愚管抄』を著した。
初句「何事を」は、何を、の意である。問いの形をまず置く。
二句「思ふ人ぞと」は、思い悩んでいる人なのかと、の意である。
三句「人問はば」は、人が尋ねたならば、の意である。二句の「人」と三句の「人」とが重ねられ、問われる人と問う人とを示している。
四句「答へぬ先に」は、答えもしないうちに、の意である。
結句「袖ぞ濡るべき」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形「べき」で結ぶ係り結びである。言葉より先に涙があふれるほどの深い憂いを、涙に濡れる袖で示している。
ぬる:濡れる
- 作者
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慈円
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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身の憂さを思ひ知らずはいかがせむ 厭ひながらもなほ過ぐすかな
- 次の歌
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いたづらに過ぎにしことや嘆かれむ 受けがたき身の夕暮の空