和歌の浦や沖つ潮合に浮かび出づる
あはれ我が身の寄るべ知らせよ
- 歌の意味
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和歌の浦よ、沖の潮の流れが出合うあたりに浮かび出た、ああ、このわが身に、寄るべき岸を知らせてくれ。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1761
詞書は前の歌に続き「和歌所にて述懐の心を」
和歌所で述懐の心を詠む一連の五首目で、藤原家隆の歌三首の二首目である。和歌の浦の沖の潮合に浮かび出たわが身に、寄るべき岸を知らせてくれ、と呼びかける。和歌の道によって世に浮かび出た身の、行く末の拠り所を求める心を述べている。
作者の「家隆朝臣」は藤原家隆である。原文に作者名はなく、前歌から続く。藤原光隆の子で、『新古今和歌集』の撰者の一人である。宮内卿に至り、藤原定家と並び称された。
和歌の浦は紀伊国、今の和歌山市の海辺で、和歌の神とされる玉津島神社がある。その名から和歌の道を象徴する歌枕として詠まれた。
初句「和歌の浦や」は、歌枕への呼びかけである。六音の字余りで、和歌所に仕える身にふさわしく、和歌の道を象徴する地名を置いている。
二句「沖つ潮合に」は、沖の、潮の流れが出合うところに、の意である。八音の字余りとなっている。
三句「浮かび出づる」は、浮かび出た、の意で、和歌の道によって世に出たわが身をたとえる。六音の字余りである。
四句「あはれ我が身の」の「あはれ」は感動詞で、ああ、の意である。浮かび出た身の頼りなさを嘆く。
結句「寄るべ知らせよ」は、身を寄せる岸を教えてくれ、の意である。命令形で和歌の浦に呼びかけ、和歌の道に行く末を託す心を示している。字余りの多い調べが、潮に漂う身の揺らぎを思わせる。
しほあひ:潮の流れが出合う所
よるべ:身を寄せるところ。頼りとするところ
- 作者
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藤原家隆
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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おほかたの秋の寝覚めの長き夜も 君をぞ祈る身を思ふとて
- 次の歌
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その山と契らぬ月も秋風も すすむる袖に露こぼれつつ